岡山県は30日、青少年がスマートフォンや携帯電話を適切に利用する環境を整えるため、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの携帯通信3社と協定を結んだ。有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の利用促進などに連携して取り組む。
締結式が県庁であり、伊原木隆太知事と3社の代表者が協定書に署名した。知事は「フィルタリングの利用率を上げ、若者がトラブルに巻き込まれるのを防ぎたい」と強調。事業者側はそれぞれ「安全安心に通信サービスを活用できるよう努めたい」などと述べた。
協定に基づき3社は、スマホや携帯電話を販売する際、保護者らにフィルタリングについて十分に説明し、設定を働き掛ける。県と連携し、講習会の開催や啓発資料の作成も進める。
携帯通信事業者と県の協定は長野県などが既に結んでいる。
有害サイト対策法は携帯通信事業者に対し、18歳未満が契約する際のフィルタリング設定を義務付けているが、保護者の同意があれば解除できる。昨年11月の岡山県教委の調査では、県内の利用率は小学生30・5%、中学生34・5%、高校生40・8%。
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<県>携帯3社と提携 青少年に適切な使用促す /岡山
県は30日、大手携帯電話会社3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)と、青少年の携帯電話・スマートフォンなどの適切な利用を促す連携協定を結んだ。県教委が昨年11月に実施した調査で、有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の設定率が、小・中・高校生で3~4割程度に低迷しており、県などは児童や生徒、保護者を対象にした研修会を開くなどして対応することにしている。
フィルタリングを巡っては、警察庁が先月、全国の携帯電話販売店が利用者に対し、スマートフォン向けの説明を正しく行っているかを調べた覆面調査の結果を発表。対象1202店舗のうち、「説明が不十分」とされた店舗は半数以上あったが、県内では8割が「説明に問題がなかった」とされ、全国で3番目に高い比率だった。
県では2011年10月に「県青少年によるインターネットの適切な利用の推進に関する条例」が施行。販売店にフィルタリングの効用を説明する義務を課しており、利用者が適切な説明を受けられる環境が整ってきている。
一方、県教委が昨年11月に実施した小・中・高校生のスマートフォンなどの利用実態調査では、フィルタリングの設定率が、小学生30・5%、中学生34・5%、高校生40・8%にとどまった。原因として、県は「フィルタリングによって使いたい機能が限られてしまうからではないか」と分析する。
一般的なスマートフォンでのフィルタリングの設定では、トラブル防止のため、無料通信アプリ(ラインなど)が使えなくなるという。県教委の調査では、ネットを使う児童・生徒のうち、ラインを利用すると回答した割合が、小学生31・5%、中学生71・2%、高校生92・4%に上っており、こうしたアプリを使えるよう、保護者がフィルタリングを設定しないとみられる。県男女共同参画青少年課は「ラインなどを使えるような設定変更もできる。正しいフィルタリングの活用法なども保護者らに伝えたい」と話す。
県庁でこの日あった締結式で、伊原木隆太知事は「携帯電話などに便利な機能があるゆえに、教育上の問題が起きているのも事実。トラブル防止のために力を合わせたい」と話した。KDDIの松尾恭志・中国総支社長は「今年度、県内の学校で行った携帯電話の講習会には、前年度の2倍を超える申し込みがあった。教員や保護者の思いを受けて、安全・安心な通信サービスを展開したい」と力を込めた。
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